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アイドル批評空間

アイドルについて少し掘り下げて考えるブログ

【アイドル各論】BABYMETALの「つまらなさ」について ~Perfumeとの比較を交えながら~

アイドル批評 BABYMETAL

 BABYMETALの「おもしろさ」は誰でも知っている。意地の悪い言い方をすれば、それはあまりに多く語られている。もちろん、BABYMETALが「おもしろい」ことは否定しない。否定しようがない。しかし、それだけでは見えなくなることもある。そこで、本論ではあえてBABYMETALの「つまらなさ」について確認する。

 ただし「あんなものは本当のメタルではない」といった類のことを主張するわけではない。そんなことを言えるほどメタルに詳しいわけでもない。あくまでアイドルというジャンルに留まって考察を進めたい。

 BABYMETALを語る際に欠かすことの出来ないこと、それはまず「アイドルとメタルの融合」だろう。初めてBABYMETALを知った者は、その奇妙な組み合わせに戸惑い、人によっては反発を覚えもする。しかし、少し時間が経てばどうしても気になって、気づけば徐々にのめり込んでいく…。これが、BABYMETALにハマるお決まりのパターンというわけだ。

 Youtubeのコメント欄を見ていても、こうしたコメントは多い。「これまでは全然アイドルなんかには興味なかったんですが」という具合だ。しかし、こうしたコメントをどこかで目にしたことはないだろうか。そう、例えばそれはPerfumeである。

 Perfumeの売りといえば、「アイドルとテクノポップの融合」である。Perfumeは、アイドルとどちらかといえばマニアックな音楽ジャンルとを融合させるという、最近では珍しくない手法の先駆けと言えるだろう。

 そろそろ言いたいことを言ってしまおう。BABYMETALにはやはり「つまらなさ」がある。それは、「アイドルとマニアックな音楽ジャンルとの融合」というすでに存在していた手法を反復しているということである。もちろん、後ろでバンドが演奏しているなどの違いはある。しかし、そうした違いは決定的なものであるようには思えない(メンバーの個性や歌唱力という違いも決定的ではない。前者については、個々人がそれぞれ他の人とは違う個性を持つということは当然のことであり、別に驚くほどのことではないからだ。後者については、ここで論じる余裕がないので、別の記事でまた論じることにする)。

 なぜわざわざBABYMETALの勢いに冷や水を浴びせるようなことを述べるのかといえば、それはBABYMETALについての言説が過熱している印象を覚えるからだ(こうした過熱はBABYMETALに特有のものというわけではないが)。一例として、4月1日発売の新アルバム「METAL RESISTANCE」の収録曲である「KARATE」のPVに対するYoutube上のコメントから引用してみよう(最終アクセスは、2016年3月25日)。

A○B48商法やゴリ押しK-POP・・・ 日本の音楽業界にうんざりしてた自分ですが、 BABYMETAL のおかげで音楽熱が再び盛り上がってきました! 私もBABYMETAL のパっと見(聞き?)は「なんじゃこれ?」でしたが、 異様に耳に残るギターリフに3姫の歌&ダンス。 我慢して聞き出すと、非常に作りこまれた曲だって事に気づき、 バックバンドの超絶(人間離れした)テクニックに驚き、 さらにSU-METALの圧倒的ヴォーカルに泣きながら、 YUI&MOAMETALの全力パフォーマンスに泣かされるのでした。(以下略)

  ここでは、あくどい「商法」を用いるAKB48や「ゴリ押しK‐POP」と、バックバンドの「テクニック」と3人のメンバーの「圧倒的ヴォーカル」や「全力パフォーマンス」が際立つ「BABYMETAL」とが対照的に語られている。こうした語りに、非実力派あるいは非本格派たるアイドルと実力派あるいは本格派たるアーティストというおなじみの二項対立を見出すことはそう難しくない。

 前回の記事(「日本の音楽においてアイドルが果たしている機能について」)で述べたように、こうした二項対立は、アーティストの優位を前提としている。詳しいことは、前回の記事を参照してもらうとして、ここではこうした語りが、本来アイドルが斥けるべき二項対立をアイドルというジャンルの内部に持ち込んでしまっていることを強調しておきたい(そして、この現象はアイドルファン同士の対立において多く見受けられる)。もちろん先ほど引用したようなコメントばかりというわけではない。そうした比較を咎めるようなコメントも散見された(ただ、そうしたコメントにもアーティスト的であるBABYMETALの優位を前提にしているものもあったことは付け加えておく)。しかし、先ほど引用したようなコメントが多いこともまた事実である。

 繰り返すが、BABYMETALには、ある程度の「つまらなさ」がある。当然ながら、このことを指摘することは、BABYMETALを応援する・好む人がいることを否定するものではない。しかし、アイドルというジャンルに内在的な視点から考察したとき、BABYMETALがこのジャンルにどれほどの新しさをもたらしているかといえば、それはそれほど多くはないと言わざるを得ないのではないか。

 以上のよう指摘をすることと、なぜBABYMETALが海外であれほどまでに人気を獲得しているのかを考えることは、全く別の事柄である。この疑問に対する答えを、残念ながら筆者は持ち合わせていない。